事故り詩『最後の一枚』

ティッシュが、ない。
と思ったら、ある。
だが、出ない。

指でつまんでも
ピンセットで挟んでも
爪の角度を調整しても
出ない。

箱の奥に、
しっとりと貼りつき、
沈黙を決め込んだ白い奴。

「わいは、ただの紙ちゃうねん」
とでも言いたげに、
ティッシュのくせに、抵抗してくる。

引っ張る。
破れる。
泣く。
でも拭けない。
だってもう、
破れたから。

こなごなになったそれを
ちまちまと指先で集める。
ゴミか?資源か?
そもそもこれは、敗北か?

ティッシュの最後の一枚に、
わたしは今日も、
負けている。

これが現代の戦いや。
こんなんに日々、心をすり減らしてる我々こそ勇者やろ。

関連作品