事故り詩『どこから来たか知らん糸に、人生を持っていかれた日』

下着から、ほっそい糸が一本、ぴょーんと出ていた。
どこから来たのかは、わからない。
ただ、そこにあった。

つまんで、引っ張る。
すっと伸びる。
まだ続く。

なんやこれ。
どこにつながってんねん。

引っ張る。
まだ出る。
まだ、出る。

途中でやめる理由は、もうない。
ここまで来たら、最後まで見届けるしかない。

糸は、無言で応じる。
どこまでも、どこまでも、伸びてくる。

これはもしかして、終わりがないのかもしれない。
そう思った瞬間、少しだけ怖くなる。

でも、手は止まらない。

引っ張る。
引っ張る。

――プツン。

終わった。

短い。
あっけない。
さっきまでの時間は、なんやったんや。

指先には、切れた糸。
元の場所は、もうわからない。

残ったのは、少しだけ乱れた布と、
どうでもいい達成感。

私はそっと、それをゴミ箱に捨てた。

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