試合の翌日。
勝者のもとに、再び箱が届いた。
前回と同じ、桐の箱だった。
やたらと立派で、やたらと静かだ。
「……またこれか」
首相は、小さく息をついた。
しかし今回は、前回よりも覚悟があった。
ゆっくりと、蓋を開ける。
中には、布。
その下に、さらに箱。
「……二段構え?」
慎重に取り出す。
内箱を開ける。
そこにあったのは――
「……ボール?」
赤いゴムボールだった。
丁寧に磨かれ、光沢がある。
だが、どう見ても。
「……普通やな」
誰かが、ぽつりと言った。
同席していた関係者たちも、頷くしかなかった。
「今回の競技にちなみまして」
係員が、静かに説明を始める。
「敗北国の特産ゴムを使用した、特注品となります」
「……ああ、なるほど」
誰も納得していない顔で、納得した。
しばらく、沈黙。
そのあと、首相が言った。
「……ありがたく、頂戴する」
その言い方は、前回よりも少しだけ上手だった。
後日。
そのボールは、前回のまわしの隣に展示された。
『首相決戦 第二回大会 戦利品』
来館者は、並んだ二つを見る。
まわしと、ボール。
しばらく考える。
そして、だいたい同じことを思う。
――次は、何が来るんやろ。
その期待だけが、静かに残った。