事故現場は、日常にあり。
吸うつもりで、生きてきた。
湿気も、感情も、言いそびれた言葉も。
静かに、音も立てずに。
それが、わたしの仕事だった。
なのにある日、
名前が、吹いた。
吸井吾朗。
それが、吹井吾郎になっていた。
違う。
これは、違う。
わたしは吹かない。
わたしは、吸う。
だが、どこかで聞こえる。
「すいた、すいた」
地名のように、軽やかに。
ああ、これはあれか。
あの街のせいか。
吹田市。
ふく、ではなく、すい。
吹く、ではなく、吸う。
わたしの中で、何かが揺らいだ。
吸うてきた人生が、
一瞬で、吹き出しそうになる。
記録は正しく、保存されない。
名前は、いつも少しだけズレている。
それでも、わたしは今日も吸う。
誤字も、誤解も、全部まとめて。
静かに。
確かに。
すい、と。
ポポッ🕊✨(←読了音)
詩が浮いてるんじゃない、世界が沈んでるだけや。