無意味連作劇『首相決戦』第十六話 新種目

発表は、やけに静かに行われた。

「次回の競技を、お知らせいたします」

その一文だけで、空気が引き締まる。

誰もが、少しだけ身構えた。

これまでの流れを、知っているからだ。

剣道。ドッジボール。柔道。

どれも、予想の外からやってきた。

そして、どれも“やるしかなかった”。

「今回の種目は――」

わずかな間。

その沈黙が、やけに長く感じられた。

「……かくれんぼです」

世界が、止まった。

「……え?」

誰かの声が、ぽつりと落ちる。

「かくれんぼ、です」

繰り返される。

だが、理解が追いつかない。

「いやいやいや」

「首相が?」

「どこに隠れるんや」

ざわめきが広がる。

しかし。

そのざわめきは、すぐに収まった。

なぜなら。

誰もが、もう知っていたからだ。

――これも、やることになる。

説明が、続く。

「フィールドは、各国の都市を使用します」

「制限時間内に発見されなければ、勝利とします」

「外部からの情報提供は禁止です」

静寂。

そのルールを、誰もが頭の中でなぞる。

そして、だいたい同じことを思う。

――難しすぎへんか。

だが、異議を唱える者はいなかった。

なぜなら。

もう、慣れてしまっていたからだ。

「……まあ、ええか」

誰かが、また同じことを言った。

その言葉に、世界が静かに頷いた。

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