ほんまは牛乳だけ買うつもりやった。
冷蔵ケースの奥、
ぼんやりした頭で手伸ばして、
ふと、横見たら──
🍌バナナ。
それはたぶん、
いつもと同じ形、同じ色やった。
でも、
その黄色が今日は、なんか……めっちゃ攻撃的に見えたんよ。
「元気の象徴」みたいな顔して立っとって、
「食べたらエネルギー出ますよ」みたいな顔して並んでて、
なんか、
それがしんどかった。
「はい!今日も頑張ろうね!!✨」
「栄養とって!前向きにいこう!!💪🍌」
──そう聞こえた気がして、
「あ、無理やわ」って
心の中でしゃがみこんだ。
今日はな、
バナナの黄色すら、まぶしかったんよ。
キツかったんよ。
逆にあの時、
ちょっと黒ずんだやつとか、
落ちかけのバナナやったら、
たぶん泣いてた。
たかが色、
されど色。
疲れた心には、
“元気の色”すら、刺激が強すぎる日があるんや。
何も買わんと、
コンビニ出た。
風の色がグレーで、
やけにホッとした。
今度バナナ買うときは、
ちゃんと黄色が好きな日にしたい。
(了)