無意味連作劇『首相決戦』第十四話 それでも

反対の声は、確かに広がった。

小さく、しかし確実に。

議論は、各国で起こった。

「この制度は、本当に正しいのか」

「国家の意思を、競技で決めてよいのか」

テレビでも、街角でも、同じ問いが繰り返された。

だが。

結論は、出なかった。

なぜなら。

それをやめたあとの世界を、誰も想像できなかったからだ。

かつてのように、武器を取るのか。

かつてのように、多くを失うのか。

その記憶が、どこかに残っていた。

「……それなら、このままでええんちゃうか」

誰かが言う。

それは、積極的な賛成ではなかった。

ただの、消極的な選択だった。

だが、その声は、多くの人にとって、理解できるものだった。

結局。

制度は、維持された。

次の首相決戦も、予定通り開催されることになった。

会場の準備が進む。

中継の手配が整う。

観客席が、ゆっくりと埋まっていく。

誰もが、どこかで引っかかりを感じながら。

それでも、足を運ぶ。

「……結局、見るんやな」

誰かが、苦笑した。

否定する声は、なかった。

その日、世界はまた一つ学んだ。

正しさだけでは、人は動かないのだと。

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