無意味連作劇『首相決戦』第五話 抽選

会場の中央に、透明な箱が置かれていた。

中には、いくつもの札が入っている。

「次回の競技は、これにより決定されます」

係員の声は、やけに明るかった。

誰も笑わない。

それどころか、全員が無言で箱を見つめていた。

「……ほんまにこれでええんか」

誰かが小さく言う。

だが、反対する者はいなかった。

なぜなら、他の方法でも揉めることは、すでに証明されていたからだ。

「では、代表者の方」

指名された首相が、一歩前に出る。

ゆっくりと、手を箱に入れる。

札を一枚、引く。

その動きだけで、空気が張り詰める。

「……開示してください」

首相は、札を見た。

一瞬、止まる。

そして、読み上げた。

「……ドッジボール」

沈黙。

時間が、止まったようだった。

「……は?」

どこかで、声が漏れた。

「ドッジボール……です」

係員が、確認するように言う。

「いやいやいや」

「それはちょっと」

「首相が?」

ざわめきが広がる。

だが、誰も否定はできなかった。

なぜなら。

それが、ルールだからだ。

「……外野、どうするんや」

誰かが、ぼそりと呟いた。

その問いに、誰も答えられなかった。

世界は、初めて知ることになる。

国家の命運が、ゴムボールに託される日を。

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