会場の中央に、透明な箱が置かれていた。
中には、いくつもの札が入っている。
「次回の競技は、これにより決定されます」
係員の声は、やけに明るかった。
誰も笑わない。
それどころか、全員が無言で箱を見つめていた。
「……ほんまにこれでええんか」
誰かが小さく言う。
だが、反対する者はいなかった。
なぜなら、他の方法でも揉めることは、すでに証明されていたからだ。
「では、代表者の方」
指名された首相が、一歩前に出る。
ゆっくりと、手を箱に入れる。
札を一枚、引く。
その動きだけで、空気が張り詰める。
「……開示してください」
首相は、札を見た。
一瞬、止まる。
そして、読み上げた。
「……ドッジボール」
沈黙。
時間が、止まったようだった。
「……は?」
どこかで、声が漏れた。
「ドッジボール……です」
係員が、確認するように言う。
「いやいやいや」
「それはちょっと」
「首相が?」
ざわめきが広がる。
だが、誰も否定はできなかった。
なぜなら。
それが、ルールだからだ。
「……外野、どうするんや」
誰かが、ぼそりと呟いた。
その問いに、誰も答えられなかった。
世界は、初めて知ることになる。
国家の命運が、ゴムボールに託される日を。