事故り詩『その緑、誰も言わへん』

事故現場は、日常にあり。

ええ感じに話してた

タイミングも合ってるし
相槌も自然やし
ちょっとウケてる

空気、ええやん

今日いけてる日やん

そう思ってた

ふと見た
スマホの黒い画面

口元に

緑

あの緑や

歯と歯のあいだに
しっかり挟まってるやつ

さっきの会話、全部
その緑つきで再生される

笑ったときも
頷いたときも
たぶん、しっかり見えてた

なんなら一番目立ってた

誰も言わへんかった

優しさか
遠慮か
それとも

言うタイミング、完全に逃したか

でもな

あの空気の中で
「青のりついてるで」は

ちょっと強すぎる

せやから、みんな黙る

そして、完成する

“緑つきの好印象”

そっと取る

なかったことには、ならへんけど

なかったことにするしかない

口の中に残るのは
青のりの味と
ちょっとした人生の渋み

ポポッ🕊✨(←読了音)

詩が浮いてるんじゃない、世界が沈んでるだけや。

関連作品